いつか・・・・・きっと・・・

 原作:がんきち

登場人物

さくら♀(24歳)・・・・癌に犯された女の子。常に明るく振舞おうとしている。
あさひ♂(25歳)・・・・さくらの幼馴染。さくらと離れ離れになり初めて自分の気持ちに気付く

ボイスドラマ「いつか…きっと…」特設コーナーへ




1

あさひ

 「桜から手紙が届いた・・・・携帯電話のメールで済むご時世なのに
あいつはいつも手書きの手紙だった・・・・・」

2

さくらM

 「拝啓、あさひ様・・・」

3

あさひ

 「あいつは病弱で入退院を繰り返していた・・・・」

4

さくらM

 「今日も暑い(汗)・・・病気を治すために福島から福岡に転院して
1年・・・・・」

5

あさひ

 「あいつとは小学生からの腐れ縁だった・・・・・恋人・・・
そんな感情はなかったかもしれない・・・居て当たり前の存在・・・」

6

さくらM

 「こっちの病院に来ていろいろな事があったよ。」

7

あさひ

 「1年会わなくてあいつの存在を改めて考えなおす今日この頃・・・」

8

さくらM

 「この間ね、小児科に8歳の女の子がきたの・・・その子が
私の病室に迷い込んでね・・・色々話したんだぁ・・・・・」

9

あさひ

 「会えばいつもくだらない事を話し合っていた・・・・
それに満足していた自分・・・・・」

10

さくらM

 「その子は心臓が悪くて手術を受けるんだって・・・・・・
でね、早く直して元気になって友達と遊ぶんだって。
・・・・・・・私ね・・・・すごく苦しかった・・・・・入退院を繰り返すようになって
ナーバスになってた・・・・なんでこんなに苦しまなきゃいけないんだろうって
・・・・・なんで私だけがこんな目にって・・・・・」

11

あさひ

 「あいつの苦しみも理解してやれなかった・・・・」

12

さくらM

 「でもこんな小さな子もがんばってるのを見て、
生きたいと思った・・・・・」

13

あさひ

 「あいつは昔からいろいろと抱え込む性格だったけど
それをすべて解決できる心の強さも持っていた・・・・・」

14

さくらM

 「・・・・・私・・・・癌だって・・・・・・」

15

あさひ

 「でも・・・すべてを抱え込む事はあいつにとってすごくつらい事だったろう」

16

さくらM

 「怖い・・・・でもあの子をみて戦ってみようと思う・・・・
苦しんでるのは私だけじゃないから・・・・・」

17

あさひ

 「あいつと一緒に病気と戦えたなら・・・・」

18

さくらM

 「私生きるよ・・・・そしてあさひに会いたい・・・・」

19

あさひ

 「俺も・・・・会いたい・・・・」

20

さくらM

 「あさひは、じめじめした事は私に似合わないって言ったよね?」

21

あさひ

 「あいつはいつも明るかった・・・・
いや明るく振舞おうとしていた・・・・」

22

さくらM

 「だからもう弱音は吐かない・・・・・」

23

あさひ

 「強がらなくていいんだ・・・泣きたいときは泣けば良い・・」

24

さくらM

 「病気を克服したらあさひに最初に会いたい・・・」

25

あさひ

 「いつでも戻っておいで・・・その時はちゃんと自分の今の気持ちをいうよ・・・」

26

 

 〜間〜

27

あさひ

 「さくらが死んだのはこの手紙が届いた10日後だった・・・
病状が急変したらしい・・・その知らせを聞いたつぎの日、
さくらからまた一通の手紙が届いた・・・
消印はさくらが死んだ前日だった」

28

さくらM

 「あさひ、また手紙書いちゃった♪・・・あさひと話していたい・・・
友達と買い物したい・・・
楽しい日々を過ごしたい・・・・
早く病気治らないかな?・・・
当たり前の事を当たり前のように・・・私・・
いつか・・・きっと・・・できるようになるよね?・・そして・・」

29

あさひ

 「いつか・・・きっと・・・」

30

さくらM

 「また、会えるよね?・・・」

31

 

 〜THE END〜